【本】『千年投資の公理』はワイドモートの教科書
2号です。
本のご紹介です。
千年投資の公理はワイドモートの教科書
千年投資の公理 (ウィザードブックシリーズ)を読みました。
世界的な金融・経済情報の提供企業であるモーニングスターのディレクター、パット・ドーシーが書いた書籍です。ウォーレンバフェットでおなじみ「ワイドモート(広い堀)」、つまり同業他社に対する優位性である経済的な堀が、具体的に何かを示してくれる名著です。
この本では、下記のように定義されています。
経済的な堀はライバル会社から企業を守り、長期的な収益を獲得することで、投資家にとって企業価値を高める
経済的な堀は何によってもたらされるか
無形資産
- ブランド:消費者のさらなる支払い意欲を促すか、更なる顧客を囲い込めるもの
- 特許:特に分散された特許のポートフォリオと刷新を積み重ねてきた実績
- 行政の許可:参入障壁が高くかつ価格設定が規制されていない市場のもの
顧客の乗り換えコスト
乗り換えに必要な費用や、通常業務ができなくなるリスク、再度慣れるまでの時間など。外食や小売は消費者の乗り換えコストが低く、激しい競争になりやすい。
ネットワーク効果
ネットワーク効果とは顧客が増えれば増えるほどネットワークの価値が高まり、顧客にとっての便益が増すこと。例えばクレジットカードは利用できる場所が多いほど利便性が高まり、さらにユーザーを獲得することができる。同時に、新たに参入する企業に対して障壁となりるため、ネットワークに基づいたビジネスは、少数企業による独占状態を生む傾向にある。
コストの優位性
単に効率的であることではなく、 ライバル企業が真似できないようなプロセスであること。地理的優位性や規模の経済を利用しライバルよりも安い価格を提供し続けられる企業。
誤解されている堀
誤解されている堀の代表的なものに、素晴らしい製品、大きなマーケットシェア、無駄のない業務執行、優れた経営陣などがある。
数字だけでなく中身をよく理解し、吟味すること
この本の核となる部分は、経済的な堀の具体的な内容についてです。この他にも、スクリーニング方法や売り時の決め方などが書かれています。しかしながら、数字はあくまでもスタートであり、企業の持つ競争上の優位性の強さを注意深く考え、それによってライバル社を食い止めることができるかを見極めること、としています。
ページ数も250ページ程度で、上下の余白も広いため、サクサク読める点も嬉しいです。長期投資をするならぜひ読んでおきたい一冊です。
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